オイコクレジット・ジャパン~出資でできる国際協力

私たちは、オランダに本部を置く<開発協力のための協同組合>オイコクレジットの、日本で唯一の支援組織(SA)です。

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「女性のエンパワメントとマイクロファイナンス」報告書No.18 

3.3.4女性のエンパワメント

定義 インタビューに応じた顧客たちの多くは、ジェンダーの平等についての考え方が進歩的だった。唯一の例外はブルガリアの男性で、エンパワーされた女性なんて男まさりで偉そうなやつばかりだと考えているようだった。ブルガリア人のコンサルタントによるとこの顧客は、男性が一家の稼ぎ手で女性の主な役割は子育てという性別規範が支配的なロマ民族出身者なので、考え方が依然としてその枠から抜け切れないのであろうということだった。

「エンパワーされた女性は、自分の目標すべてを達成した女性です」
                  マイクロファイナンスの顧客(ペルー)


 インタビューを受けたすべての人が女性のエンパワメントの定義を尋ねられ、回答はできる限り分野ごとに集約された。これらの区分は多くの場合、女性のエンパワメントに関する問題の分類化に取り組む現行の文献 に倣っておこなわれている。分析結果は表3に示されている。

 それによるとエンパワメントについての経済的定義づけが最も一般的で、回答者の34%がその定義を用いている。自尊心、自負心、達成感、自己決定力と判断力のような心理的定義は僅差の2位で、27.5%となっている。社会文化的(4.5%)あるいは法的問題(6%)はあまり重要視されていない。人間関係(家庭内での意思決定など)におけるエンパワメントと政治的エンパワメントは、それぞれ8%と16%である。

 北の専門家によるエンパワメントの定義は、オイコの事務所やMFIパートナーのみならず南の顧客たちが示した定義とほとんど同じである。これは、パーセンテージの順位を見るとさらにはっきりする。

エンパワメントについての心理的定義(33%)と経済的定義(30%)は、北の専門家にとってやはり最も重視している要素のようである。さらに、北に住む女性と南に住む女性にとってのエンパワメントの意味を比較したが、専門家たちはあまり大きな相違をみいだしていない。ただ、出発点において違いがあると指摘する専門家がいる。北において我々がエンパワメントの到達点のことまで充分考える余裕を与えられているのに反して南では今すぐにでも実践する必要のある緊急課題が山積しているからである。

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「女性のエンパワメントとマイクロファイナンス」報告書No.17 

3. 3.3 女性による資金の運用

 机上検討でもみられるように、小規模ビジネスを起し拡大する目的で女性が手に入れた資金を、時として夫や家族(男性)に使われてしまうことがある。そこで、次のような質問がなされた。MFIは、女性の顧客が自分のビジネスに適正に資金を運用するという確証を得るために何か融資条件を設けていますか?

 インタビューを受けた人のうち2人は、マイクロファイナンスは貸付金の用途には関知しないことを認めた。あとの2人は、選考基準を設けることにより資金の濫用を防止できるのではないかと述べた。緊急の場合や教育費が必要なときは他のローンを提供することで適切でない使われ方を阻止できるのではないかという意見もあった。あるMFIでは、自分のビジネスのために資金を使うことの必要性を女性たちにきちんと自覚させるための教育プログラムを設けていた。資金が適正に運用されているかどうかを確かめるためにクレジット担当者とグループリーダーによるモニタリング制度がMFIにある、と回答者のうち60%が述べた。

 顧客へのインタビューで、資金が必ずしも夫のために使われているわけではないにしても、モニタリング制度があるからといっていつでも相応の効果を上げているわけではないことが明らかにされた。インタビューを受けた20人のうち、7人は融資の一部を子どもや孫たちの教育費に充てたことを認めた。また融資で得た資金について6人のうち、友人や家族の医療費への充当が2人、成人している娘や他の家族の生活費への充当が2人、夫が自分の商売への投資に資金を流用が2人と、それぞれ回答した。

生活の変化 融資を受けたことでそれぞれの生活や家庭、コミュニティの中でどのような変化がもたらされたかを顧客たちに尋ねた。表1には、報告されたさまざまな変化と回答者数が示されている。

 ほとんどの顧客が、仕事を始めたことで以前より幸せを感じるようになり、自分に自信が持てるようになった。顧客とその家族は極貧の生活から脱することができ、生活していけるようになった。顧客のうち4人は、今や子どもを学校に行かせることができるようになり、2人は自分の子どもに仕事を与えることまでできたと報告している。また顧客たちは、雇用や仕事の機会をコミュニティに提供している。顧客たちは、そうした地域への貢献と経営者としての役割を果していることで周囲から尊敬されている。また顧客たちの扱うビジネスでは、コミュニティの需要を満たすサービスも提供している。

「エンパワーされた女性たちは、自分の娘とビジネスの経験を共有すべきであり、娘が学校を卒業した後起業するように励ましてあげるべきです」
                       マイクロファイナンスの顧客(ケニア)

 家事の分担について尋ねると、仕事を始めてから状況が改善されたと報告した女性が多い。配偶者またはパートナーがいる18人の顧客のうち11人は家事を分担していると回答し、夫はあまり手伝わないが4人、夫はまったく手伝わないが2人である。
表1 小規模ビジネス経営によりもたらされた変化

顧客自身の生活
経済的な安定/生活水準の安定 9
ネットワーク       7
自尊心/自信 5               
仕事への没頭 5              
自立 2              
人から尊敬されるようになった 2              
仕事/業績に対する満足度 2              
責任感 1              
意思決定権の掌握 1              
喜び 1              
行動の自由 1              


顧客の家族の生活
経済的な安定 8
幸福感/良好な家族関係 6
子どもの教育事情の改善 4
子どもの就職事情の改善 2
生活の質の向上 1
子どもの生活向上 1
時間的余裕 1


コミュニティへの対応
就職斡旋 7
サービスの提供 3
尊重され必要とされている 2
カウンセリングやアドバイスを与える 2
周囲の人々に良い刺戟を与えている 1
情報の交換 1
コミュニティの活性化に貢献 1

 顧客たちの生活に表れた変化の中で最も重要なことを2つあげるように質問したところ、さまざまな回答が寄せられた。それらは表2にまとめられている。

 興味深いことに、インタビューを受けた男性のひとりが子どもや孫の誕生をあげた。こうした回答は概ね女性側の決まり文句であるはずなのだが。



表2 顧客の生活の中での最も重要な変化
金銭的余裕/生活水準の向上 7
起業/事業の拡大 5
子ども、家族、コミュニティからの信頼度アップ 3
幸福感、仕事への熱意 2
意思決定力 2
女性としての役割/権利に目覚める 2
リーダーシップ 2
若く感じる 1
不安の解消 1
社会的人間関係が活発になる 1
子どもが商売に関わる 1
ストレスの減少 1
自尊心 1
忙しさの増大 1
行動の自由が増した 1
子ども/孫の誕生 1


「女性のエンパワメントとマイクロファイナンス」報告書No.16 

3.3.2 顧客とビジネス

女性の仕事と男性の仕事 
 女性の仕事というのは男性の仕事とは異なるのかということに関して様々な意見が出ている。――机上検討でも実地調査においても。女性にとって受け容れやすいとか、実行しやすい特定の仕事についての様々な見解だけでなく、彼女たちが、男性とは対照的にどのように仕事を行い、いかに自分たちの収益を使うのかということについても異なる意見がある。

 文献の中では、女性は収益を家族のニーズにより多く使うことが報告されている。ある著者によれば )、女性は、社会的責任と環境問題に関するより効果的な事業の戦略を採用するので将来事業が発展する可能性がより高いという。少なくとも今回の調査を見る限りでは女性は成功しているようだ。というのも、多くの女性は自分たちの仕事を何年もやってきているのだから。

 20人の回答者のうち17人が、現在の事業の拡大のためにマイクロファイナンス基金を使ったと答えた。回答者のうち10人は個人ローン、3人はグループローンを使い、7人は個人ローンとグループローンの組み合わせ、あるいは両方を別々に利用した。回答者のうち13人は以前に少なくとも一回はマイクロローンを使ったことがあると回答した。残りの7人はこれが初めてのローンであった。資料5では、顧客がビジネスを始めた年度が示されている。2人が20年間ビジネスに携わっている。大多数は7年以上ビジネスに取り組んでいる。2008年にビジネスを始めたのは3人だけである。マイクロファイナンスのローンの支払いに問題を抱えている者はほとんどいない。以前に問題を抱えたと答えた者が1人おり、時々問題が生じると答えた者は2人いた。

顧客は以下のようなビジネスに取り組んでいる。

・小売業:ハードウェア、美容製品、食料雑貨品、靴/衣服、ガソリン(6人)
・酪農/畜牛(4人)
・貿易:米、織物、花、国際海運業(4人)
・レストラン/パン屋(3人)
・靴製造(1人)
・不動産(1人)
・経営コンサルティング(1人)

女性が携わるのが最も一般的な仕事を3つ、男性が携わるのが最も一般的な仕事を3つ、女性が携わるのが困難であると思う仕事を3つ、(可能なら)挙げてもらうようオイコクレジット事務所とそのMFIパートナーに尋ねた。(付録6は、オイコクレジット事務所による、女性が最も一般的に携わっている仕事の一覧である。付録7は、事務所とMFIパートナーによる男性が最も一般的に携っている仕事の一覧である。)

インタビューを受けたうちの約4分の1が、仕事として大抵女性が行なっているものは小規模な取引や市場での物売りであると指摘した。19%は、農業と漁業に関わる仕事であると指摘した。男性が携わらない、典型的な「女性の」仕事としては、理髪店、化粧品、美容院、刺繍が指摘された。

大抵は男性が行なう仕事として農業と漁業に関わる仕事を指摘したパーセントは女性よりも若干高かった(36.25%)。取引や商売に携わるとしたパーセントは男性のほうが若干低く、17%だった。

女性が関わる可能性がないと思われる典型的な「男性の仕事」としては、運送関連の仕事(16%)と建設業(5%)が挙げられた。これは、オイコクレジット事務所とMFIパートナーが女性に適さないと思われる仕事として挙げた回答と一致する。指摘された主な仕事は運送業と建設業であった。さらに、コンピューターに関わる仕事、コンサルタント業、家具製造、靴製造のような特定の仕事が指摘された。


「トラクターを運転したいとは思わない。だけど、エンパワメントを支持したい」
マイクロファイナンス顧客、ブルガリア



興味深いことに、インタビューを受けた人は男性の仕事においては異なった用語を使っていた。女性の仕事については、「ちょっとした物売り」あるいは「小さな商い」と呼ぶのに対し、男性のそれには、「貿易と商業」という言葉を使った。これは仕事の規模において違いがあることをも意味しているのかどうかは明確ではない。男性の場合、使用された名称もまた異なり、「製造」や「サービス」のように、具体性を欠いていた。女性の仕事が小規模であってもなくても、インタビューを受けた人が(おそらく無意識に)より小規模なものとしてとらえていると思われる。


 資金と体力が欠けていることが、女性が農業や建設業のような仕事を始めるのに主な制約になると思われた。農業に関しては、土地所有権が男性にあることも問題だった。読み書きができないことは、文書作成やコンピューターが必要とされるいかなる仕事も就けないと見なされた一方で、女性が建設業に参入するのを阻んでいるのが技術の欠如だと見なされた。知識一般がないと女性が農場主として働くことはできないだろう。女性は遠くに出掛けたり長時間働いたりすることができないだろう。というのも、そうすることで女性は世話をすることに十分な時間をとれなくなるからである。女性は、ある特定の仕事には興味がなくて、安心と安全が重要な関心事であると多くの人が言及した。しかし、女性が特定の仕事に参入できない主な理由は教育と技術が欠けているせいであり、慣習的または文化的な理由が次にくる。



インタビューを受けた女性の顧客は、この見解に完全には同意していない。20人のうちの13人は、男性と女性の仕事は全く同じであると考えていた。3人は、女性には、化粧品や美容製品、手工芸品といった男性とは異なる種類の仕事があると考えていた。女性は男性と同じ種類の仕事があるが異なるやり方で行なうと考えている人もいた。残りの4人の回答はそれぞれ、女性の仕事の方が小規模である、女性は自分の顧客と異なる関係を結ぶ、女性は異なる興味をもっている、女性は同じ仕事をしているが男性より努力しないと認めてもらえない、であった。18人のうち16人は、女性であるが故にできないものは何もないと答えた。1人は、夫が許可しないので家を購入することができないと答えた。さらに1人は車の運転を習うことができないと答えた。

インタビューを受けたオイコクレジット事務所とMFIパートナーによれば、女性は事業決定もしくは事業拡大に関わる意思決定を常にできるわけでない。インタビューを受けたうちの78%は夫の同意が必要であると答え、33%が他の家族の同意が必要であると答え、10%が政府機関の同意が必要であると答えた。

エンパワメントは家庭における女性の地位を高めるプロセスであり、他の要因の中でも特に家庭内の意思決定に反映されるだろうと考えている著者もいる 。この調査では、インタビューを受けた事務所とMFIパートナーの75%は、女性は家庭の意思決定に夫の同意が必要であると報告した。35%は他の家族の同意が必要であると述べた。マイクロファイナンスの顧客はこのことに対して少し異なる見解を持っている。20人のうち、たった4人(たった20%)が夫の同意が必要であるとし、2人が他の家族からの同意が必要であるとした。家庭の意思決定については、顧客は、48%の場合において、(この場合は全ての女性が)自らが意思決定を行なっていると報告した。45%の場合において、意思決定は夫と妻の間の相互交渉によってなされると答えた。夫が家庭に関する意思決定に責任があると答えたのはたった1人だった。


マイクロビジネスが、財政、家庭の中での立場、地域の中での立場、ネットワークの拡張、意思決定の機会そして/又は行動の自由に関して、顧客の生活に前向きな変化をもたらしたかどうかを尋ねたら、ほとんどすべての場合において前向きな変化があると答えた。一番変化がなかったのは家庭の中における立場であり、5人が何の変化もなかったと報告している。さらに、地域における立場、ネットワークの拡張、行動の自由の分野において、1人が何の変化もなかったと報告している。残りの全員が6分野全てにおいて前向きな変化があったと報告している。


もしもっとお金が手に入ったら何をしたいかと尋ねたら、10人の顧客が、自分の事業を拡大するか改善させたいと答え、6人が家を建てるか購入するか改築すると答えた。1人が車を購入したいと述べ、1人が旅行をしたいと述べた。夢は何かと尋ねたら、ほとんどの顧客が多かれ少なかれ同じようなことを回答した。さらなる夢として挙げられたのは、MFIで働きたい、養護施設を作りたい、失業者に手を差し伸べたい、自分の子どもたちに明るい未来を与えたい、高齢になっても自立していたいというような夢だった。望んでいるように生きるのを妨げている制約があるかと尋ねたら、財政的制約(4人)、汚職と官僚主義(4人)、保育所がない、勉強時間の欠如を挙げた。

(翻訳協力:東京YWCA国際語学ボランティアズILV)

「女性のエンパワメントとマイクロファイナンス」報告書No.15 

3.3 分析

3.3.1 パートナーと顧客


オイコクレジットの事務所
オイコクレジットは世界各地に国別事務所、地域事務所、地域開発センター(RDCs)を置いている。調査データはアジア、ラテンアメリカ、アフリカ、中・東欧にある9か所の地域事務所、28の国別別事務所、3か所の地域開発センターから集められ、ほぼ全世界の概観を示している(資料1参照)。第1回の分析後、明確性に欠ける返答が見られた質問については、インタビューで再度確認し完全な回答を得るようにした。

また、資料 1にはスタッフの人数、男女比、各事務所のMFIパートナーの数、MFIパートナーが担当している全顧客数が示されている。スタッフの人数は1人から9人であり、事務所当たり平均3.25人である。女性スタッフの割合は0%から100%で、平均54%である。

MFIパートナーの数は、事務所当たり2(コートジボアール、モルドバ)から39(インド)で、平均11.91である。事務所当たりのMFIパートナーが担当する顧客の人数は3800人(ロシア)から2,249,778人(グアテマラ)と大きく異なっており、平均437,234人である。

オイコクレジット事務所の半分は、MFIパートナーにプログラムのアドバイスを実施し、残りの半数はアドバイスを実施していない。オイコクレジットはMFIパートナーの選考にあたってはジェンダー関連の基準を適用している。ジェンダー方針については、選考の条件ではないが、オイコクレジット事務所はほとんどの場合MFIパートナーにジェンダー方針の開発と実施へのサポートを提供する用意がある。技術支援をしたり、パートナーのスタッフと顧客のためのジェンダー方針立案に力を貸したり、パートナーにジェンダープログラムを開発するよう奨励したりすることにより、31%のオイコクレジット事務所がパートナーをサポートしている。ある事務所は、融資の申込にジェンダー関連の基準を設けてジェンダー方針に貢献していると言及している。女性によって所有され、管理されているMFIを支援の基準にしていると述べた事務所もある。事務所の18%は主に女性の顧客を持つMFIを支援することをジェンダー方針への彼らの主な貢献としている。オイコクレジットの46%の事務所は、MFIのジェンダー関連の行動にほとんど、あるいは全く影響されないことを認めている。

モニタリングシステムで使用されるジェンダー指標について聞かれると、インタビューを受けた54%が女性顧客の数が主要ジェンダー指標であると報告した。23%はMFIパートナーの女性スタッフや女性役員の人数と述べた。14%は女性管理職の人数を評価している。ジェンダー指標がまったくないと回答した事務所は5つあり、MFIもこうした姿勢を反映しており、ジェンダー指標を適用していない。また、ある事務所においては、意思決定、グループへの参加能力、女性のビジネスプラン作成能力を、エンパワーメントの指標として適用している。

MFIパートナー
調査対象となった4カ国で地元のコンサルタントが以下のオイコクレジットMFIパートナーにインタビューを実施した。

CREDO,ブルガリア
Pamoja Women’s Development Programme (PAWDEP),ケニア
CrediMujer Programme(Movimiento Manuela Ramos), ペルー
Alalay sa Kaunlaran, Inc. (ASKI),フィリピン


一般に、ほとんどのMFIパートナーには約50%の女性スタッフがいる。いくつかの事例においては全てのスタッフが女性である(資料3を参照)。だがここ数年、MFIの経営管理にある傾向がみられる。この分野に参入する男性が増加しているのだ。マイクロファイナンス業界は経済の大きな部分を占めるようになり、ますます受け入れられ評価されるようになってきた。その結果、ジェンダーバランスが男性寄りに傾く可能性がある。これはサービスの対象となるグループのジェンダーバランスにも影響を与え得る。一般的に、女性スタッフ数と女性顧客数の割合の間には正相関の関係がある。これらのMFIパートナーの詳細については、資料3にて見ることができる。

MFIパートナー事務所では多岐にわたるマイクロファイナンス商品や関連サービスを提供している。その大半は、所得創出、事業開発、教育、住宅改善、消費全般を目的としたグループおよび個人向け融資と担保貸付である。これらの融資は農村銀行を通して提供されるときもある。また、ある事務所ではそこのスタッフに小口融資を提供している。さらに、一部のMFIでは、マイクロ保険、貯蓄(任意と義務、預金含む)、振替、送金をおこなっている。小口リース、クレジットカードプログラム、社会的給付、両替、さらにはトレーニングやコンサルタント、事業開発等のサービスを提供する事務所もいくつかある。

資金はほぼ(55%のケース)、銀行口座からの引き出し、小切手、振替、モバイル・バンキング等、銀行制度を通して用意される。42%は資金が現金にて用意されると述べている。インタビューを受けた中の2つのMFIは、MFIパートナー内に顧客の口座があると言及している。どの制度もすべての地域で一様に定着している。
MFIパートナーは、プログラムや金利などの融資条件を自由に設定することができる。ラテンアメリカでは金利が一番高く、最高で150%に達しており、これはおそらく経済状況と多くの国における高いインフレに起因する。平均で最低金利は18%~30%で、最高金利は26%~90%である。これらの回答は、インタビューを受けた20人の顧客が報告した金利と一致する。

20人のインタビューを受けた顧客のうち13人(65%)は自らの返済計画を組立てたり、作成に関わったりしたことがある。オイコクレジット事務所とMFIがそのようなことができると報告しているにも関わらず、ケニアではインタビューを受けた人の中で返済計画の組立てにも関わったことのある顧客は一人も報告されていない。インタビューを受けた事務所の67%は、顧客が望む場合、返済計画の組立てに関われることを認めている。85%は融資を開始する際、顧客が最初の所得を得てから返済できるように猶予期間を与えている。机上検討では女性の借り手の方が好まれていることが判明した。なぜなら女性の返済率の方が高く、所得の増えた分を家族の食物や教育に充てているからである。調査によると、平均返済率は85%~100%である。インタビューを受けた60%は、一般に男性よりも女性の返済状況のほうが良いと答えている。マイクロクレジットファンドが事業に使われなかった場合、女性顧客の大半の事例では教育や緊急医療に使われているとインタビューを受けた人たちは報告している。

顧客選考
MFI事務所は様々な方法で顧客を選考する。現地に行って顧客を選考、および/または融資を奨励するMFIもあるが、ほとんどのMFIは、潜在顧客が事務所に現れるか、他から紹介されるまで待つ。そのためサービスはいつも最貧層の人々にまで行き届いているわけではない。MFIは以下の方法で顧客を選考する。

最低貯蓄額、身分証明書、給与明細書、他の融資を受けてない、仕事の種類、推薦等の申込基準に基づいて選考
住居、地域、仕事場所により選考
商品マーケティング、経済活動により選考
グループの他のメンバーからの情報に基づいて選考(グループ融資の場合)
農業や小規模所得創出活動に従事している農村女性に限定することにより選考
質問表や貧困度チェック表による選考
地域への個人的訪問に基づいて選考(最貧困の村民を選考するテストも含む)

資料4に示されているように貧困に関連した基準を適用しているMFIは15%しかない。大半は、最貧層の人々への融資になるかどうか分からない一般的な基準を適用している。融資対象を女性に特定したい場合の基準についてはMFIの47%が社会的に弱い立場の女性を対象にする基準を適用している。これらの基準の大半は弱い立場にいる女性や一般的に弱い立場のグループを対象としたプログラムに関する基準である。3つのMFIでは顧客が全て女性である為、これらMFIによる全活動は女性に利益をもたらしている。アドバイザーによる女性の団体への訪問を通して活動を促進しているMFIは1つである。

インタビューを受けた人の35%は最も弱い立場の人々を対象とした特別の活動やプログラムがあると述べている。54%はそのような活動はないと述べている。インタビューを受けた人の内3人が自らの組織の持続性及び採算性の方が、貧しい人を貧困から脱却させるための活動、つまりMFIによるより多くの資金注入や努力が必要な活動よりも重要であると認めている。

インタビューを受けた人の54%は、MFIが、事業開発、ジェンダー、技術支援、健康を主題とした女性のために特別のプログラムやグループミーティングを実施していると述べている。46%はそのようなプログラムはないと述べている。17%は女性と同じように男性にもグループミーティングを実施している。

資料3で、少なくとも調査対象になった4つのMFIでは、初めての顧客はターゲットとしては人気がない事が分かっており、その割合は4~25%である。ケニアは例外で、顧客の80%が初めて融資を受ける人である。この事務所はこうした人の為の特別プログラムを実施しており、初めての人に融資の選択肢や事業開発の実現性について説明している。ペルーでは初めての人の為のプログラムは実施していないが、特別の融資を提供している。他の事務所はそのようなプログラムや融資は提供していない。

顧客の特徴
それぞれの対象国から5人ずつ、全部で20人の顧客が地元のコンサルタントによるインタビューを受けた。回答者は18人の女性と2人の男性である。ケニアとペルーのMFIでは女性の顧客しかいない為、女性の顧客のみへのインタビューとなっている(Annex 3を参照)。顧客の年齢は28歳から64歳であり、平均年齢は44.4歳である。未婚の女性顧客が一人、未亡人が一人、他は全て既婚者であった。インタビューを受けた人の中で16人は子どもを持っており、子どもの数は平均で3.2人であった。

顧客の80%は安定した収入があると報告している。ケニアの4人の顧客は安定した収入がなかった。顧客の一日の売上高は3.75ユーロ(フィリピン)から8,000ユーロ(ブルガリア)であった。労働時間は一日当たり4.5時間から「週7日で一日24時間」と幅があり、平均労働時間は一日当たり9.47時間である。労働時間と売上高の間には明確な相関関係は見られない。インタビューを受けたケニアの顧客については、事業における平均労働時間が他の国の回答者より低い。

全体的に見て顧客はサービス内容、融資の条件および金利に概ね満足している。ブルガリアでは、不満が全く出ていない。ペルー(2人)、フィリピン(1人)では金利について不満があった。ケニアの状況はやや厳しく、4人の顧客が融資条件に、2人が金利について不満を持っている。サービスについては例外なく全ての顧客が満足している。

ブルガリアにおける平均融資額(7,663ユーロ)は他の事務所よりもかなり高い。この事実は顧客インタビューの中から抽出されたデータによって確認された。ブルガリアのコンサルタントによると、これは偏りのある顧客選びに起因する可能性があるとしているが、そのためこのMFIの平均融資額がかなり高くなっている可能性がある。ブルガリアで選出された顧客は皆事業が非常に成功している。他の地域の融資額はケニアの平均138ユーロからペルーの182ユーロとなっており、ブルガリアの例よりもマイクロクレジット融資の見込み額に近くなっている。

財政外支援
財政外支援についてMFI事務所は34%の事例において、記録管理、健康問題、能力強化の分野でトレーニングを提供している。事業開発が21%の事例にて、また技術支援が13%の事例にて言及されている。完全な財政外支援ではないが、健康保険を含むマイクロ保険が10%の事例で提供されている。インタビューを受けた人の中で、支援分野として女性のエンパワーメントやジェンダー問題について言及しているのは僅か一名である。

顧客はまた、彼ら/彼女らのMFIによって提供されている様々な支援活動についても言及している。ペルーでは全ての顧客が新しいマイクロ生命保険サービスについて言及している。フィリピンではMFIが地域開発プログラムに関与しており、公衆衛生や建設業にも取り組んでいる。さらに顧客はMFIによって教育、トレーニング、セミナー、情報等が提供されていると報告している。事業管理、債務管理、及びモニタリングが多くの場合プログラムに含まれている。多くの顧客がMFIとの親しい関係を称賛している。どのような形での支援を提供して欲しいかと尋ねると、他の顧客との交流、技術支援、技術トレーニング、教育、そしてクレジットや健康保険といった形での支援だと述べている。

20人のうち16人の顧客がグループミーティングに参加しており、役に立っていると報告している。残りの4人のうち2人はそれに参加したいと考えているが、時間的制約のため不可能だと答えている。参加が報告された16のミーティングのうち、5つについては、年次会合、役員経営会合、クレジット・ユニオン会合等、MFI事業に関する会合となっている。9のミーティングについては、事業管理、事業経験についての意見交換、財政管理、事業成長等の顧客の事業に関係している。また、1つは技術支援についてであり、もう1つは自尊心、家族、グループ行動についてである。

顧客とMFIは多くの異なる財政外サービスについて報告している。大部分の事例では、恐らくほとんどの場合同様のサービスについて言及しているが表現が異なっていると思われる。例えば、「技術支援」について顧客は「技術サポート」や「セミナー」としているのが見て取れる。インタビューを受けた人はサービスの内容について詳細に述べていないので、それらを比較するのは不可能である。

(翻訳協力:東京YWCA国際語学ボランティアズILV)

「女性のエンパワメントとマイクロファイナンス」報告書No.14 

3.2調査方法

この調査は、北と南、または融資者と最終受益者の間で女性のエンパワメントの概念に違いがあるかどうか証明するために、オイコクレジットから依頼された。もし違いがあるなら、それは何か、それが世界規模のマイクロファイナンス・プログラムにどのような結果をもたらすかを調べた。

この調査は特に、様々な関係者における女性のエンパワメントの概念の違いに焦点をあてている。そして、マイクロファイナンスが女性のエンパワメントに最適な効果を及ぼすための手がかりを見出そうとしている。

女性のエンパワメントの概念を比較するために、北と南の様々なグループからデータを集めた。北では、机上検討と、女性のエンパワメントやマイクロファイナンスに関連したプロジェクトに携わる人々から数回インタビューを行った。また、オイコクレジット本部のスタッフ数人にもインタビューした。

南では、女性のエンパワメントとマイクロファイナンスの現状についての机上検討が行われた。より多くのデータを集めるため、オイコクレジットの全ての地域事務所や国別事務所を通じて、MFIパートナーと顧客への広範囲な調査が行われた。

更に、4つの大陸から4つの国が対象国として選ばれた。ペルー、ブルガリア、ケニア、フィリピンである。これらの国はまず、文化背景や貧困の程度の違いを理由に選ばれた。この4カ国それぞれで、オイコクレジットのMFIパートナーのスタッフ1名とその顧客5人がインタビューを受けた。南の女性は女性のエンパワメントを定義するだけでなく、自分達の生活において改善された点を述べるよう、求められた。この二つがどの程度関連しているかを比較するためである。つまり、北の視点にゆがめられていないデータが最大限の努力により集められた。

最後にそれらのデータを分析し比較した。その結果に基づいて、相違点や類似点を述べ、将来のケーススタディ、モニタリングと評価、その他のプロジェクトに関して助言がなされた。

この調査は2008年12月から4ヶ月間行われた。時間や予算の制約により、統計的に価値ある十分な量のデータを集め分析するのは不可能だった。そこで、比較的限られた数の受益者と関係者に、より踏み込んだアプローチをとることにした。地域事務所を通して質問用紙を配布し、データを集めることで、興味深く有益な結果を得ることができた。

この調査の結果、調査の回答者数が少なすぎて、融資の規模や利子などの財政的なデータやその男女の違いなどの一般的な結論が導けなかった。また、これらのデータは必ずしもエンパワメントを反映しているとは限らない。なぜなら女性は男性にお金を渡しているかもしれないし、たとえ、直接尋ねられたとしても、進んでそれを認めたりはしないかもしれないからだ。

また、基準となる調査結果がないだけでなく、対照群もないので、クレジットによって生じた変化や、マイクロファイナンスの顧客の状況とクレジットのない人の状況の違いについて述べることは難しい。また、インタビューを受けた人の記憶も、インタビューを受けたときと、マイクロクレジットを利用する前との変化を測定できるほど、信頼のおけるものではない。従ってこの調査では、インタビューを受けた人たちの現在の状況とそれに関してもっている感情についての詳しい情報を知り、それを既存の文献と比べることができるだけである。

この調査は質的な質問と数量的な質問を組み合わせている。そして様々な対象グループで個別インタビューを行った。それぞれの対象グループへの質問は全て同じであった。自由回答質問と、選択肢のある質問、そして利率や融資額などの数量的な質問があった。対象グループとは、

*オイコクレジットの地域事務所や国別事務所
*オイコクレジットのMFIパートナー(選ばれた国あたり1つ)
*最終受益者(選ばれたMFIあたり5人)
*オイコクレジットの本部のスタッフ
*女性のエンパワメントやマイクロクレジットに関するヨーロッパの専門家

この調査はFemconsult の二人の国際コンサルタントが行い、対象となった4カ国から一人ずつ、4人の地元コンサルタントがサポートした(資料2)。地元のコンサルタントは現地でのインタビューを行った。

地元のコンサルタントはプロジェクト事務所やMFIパートナーと協力してデータを集め、国際コンサルタントに報告した。彼らは、性別、マイクロクレジットの経験、参加型調査、ジェンダー、地元の言語やさらには英語の知識などへの精通によって選ばれ、それぞれ約3日かけてデータを集めた。

セネガル
ACASEN-セネガル・ピーナッツ・アンド・カシューナッツ(セネガル)は、
ダカール地域の女性のみを雇用し、ナッツ、ココナッツ、及びポテトチップス
の加工処理を行っている


(翻訳協力:東京YWCA国際語学ボランティアズILV)
プロフィール

オイコクレジット・ジャパン

Author:オイコクレジット・ジャパン
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世界には、勤勉に働きながら、なんとか生計を維持することしかできず、貧困から脱却できない人々がいます。また、地域の人々が必要とする有益なサービスを提供しながら、それを拡大できない事業があります。

他方で、余剰資金を有意義な活動に活かしたいと考えている市民、一般の金融機関を通すと、地球や地域社会に有害な私達が望まない活動に流用されるかもしれないことを不愉快に感じている地球市民も数多くいます。

Oikocreditは、この両者をつなぐ「社会的責任投資」のための国際組織です。心ある人々から出資を募り、貧困からの脱出に日々努力している人々や、地域社会の発展に有益な事業にとりくむ人々に、地域社会への恩恵の還元や女性の社会的地位の向上といった独自の基準を適用して投資をおこなっています。

皆さんも、この「Investment in People(支援する価値のある人々への投資)」に参加し、お金の流れをかえて行きませんか?

オイコクレジット・ジャパンは、Oikocreditの日本における支援組織(サポート・アソシエーション)です。

代表 岡本眞理子
(日本福祉大学国際福祉開発学部教授)

連絡先
<事務局>
〒564-0051
大阪府吹田市豊津町43-27
小吹岳志気付

Tel/Fax:06-6339-3983
E-mail: japan@oikocredit.org



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